鮫島

第四章 やはり京都

第百七十五話「アワアワ」

 俺の真向いに座っている石川店長が「ほうら、俺の言うた通りでしょ。」と言いたげな表情を浮かべている。単なるウワサ好きな男かと思っていたけど、実際に会長の口から「京都を出ていくことに決めた。」なんて言葉が飛び出した今、その認識を改めざるをえな...
第四章 やはり京都

第百七十四話「珍説」

 姫路城朝帰り事件から二週間ほど、夜遊びもほどほどに大人しく過ごしている。もちろん、ミカから連絡があればデートするんだけど、それ以外の日には出来るだけ、早めに帰宅するようにしている。反省している素振りを見せれば、何を反省しているのかと問い詰...
第四章 やはり京都

第百七十三話「四天王」

 今月もまた、店長会議がキャンセルになったと、クリちゃんから連絡があった。石川店長から、会長が大阪のオンナに夢中になっていて、あまり京都に戻ってきていないという情報を得ているから、あまり心配はしていないけど、さすがに二カ月連続で店長会議がな...
第四章 やはり京都

第百五十三話「俺のやり方」

 三日後、頭にネットを被った状態だけど、吉田が店に出勤してきた。見た目が痛々しいから、まだ客の前には出られないけど、裏方として動く分には問題がないからと言っている。接客はアルバイトに任せて、タオルの回収や、女の子の使いパシリをやるらしい。 ...
第四章 やはり京都

第百五十二話「俺らのやり方」

 鮫島店長からの返答に対して、俺から言い返す言葉が見つからず、ただ何となく「ほな、店に戻るわ。」とだけ言って、階段を降りてきた。 これまでにも、暴力でスタッフを黙らせて、自分のやりたいように店を回す店長というのは、何人も見てきた。男性スタッ...
第四章 やはり京都

第百五十一話「指導」

 吉田が店の前で、ボコボコに殴られたと聞いて、真っ先に頭に浮かんだのは、あのレッドポイントグループの松山さんのことだ。グループ内で湧き上がっている俺への不満を押さえつけて、わざわざ俺の店に訪ねてきて、頭まで下げてくれたけど、やっぱり若い人間...
第四章 やはり京都

第百四十七話「カナコ」

 三カ月と言われて、記憶を遡ってみても思い出せない。とはいえ、サエコが妊娠したということは、俺の子だ。倦怠期を迎えて久しく、数少なくなった夫婦の営みの一回が、見事に的中したらしい。カオルコがお姉ちゃんになるんやな。次は、男の子かな。でも、や...
第四章 やはり京都

第百四十六話「鮫島」

 年が明けて、門松が取れると、プリプリの三階と四階の工事が始まった。ピチピチマダムという人妻専門を謳ったファッションヘルスが、春先にはオープンの予定だ。新店の店長は、会長がどこかから連れてきた鮫島という俺のひとつ年上の男らしい。自分が可愛が...
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