京都

第四章 やはり京都

第百十五話「一文無し」

 俺がさっさとピンクデザイアを閉めたから、「赤字続きで、儲かって無かったんだろう。」とか、「もう、アイツは一文無しやで。」などとウワサになっているらしい。俺に直接言って来ないから、わざわざ訂正して回る必要もないけど、それなりに儲かっている店...
第四章 やはり京都

第百十三話「ほんまでんがな。」

 カオルコが満五歳の誕生日を迎え、すくすくと成長している。元気だけが取り柄のサエコは、さらに元気さを増していて、母親であることに喜びを感じ、日々の生活を送っているようだ。我が子の子育てに悲壮感を出されても困るから、サエコのように楽しそうに頑...
第二章 京都

第三十話「木屋町」

 街の北と東西の三方を山々に囲まれた京都盆地の冬は寒い。まさに凍てつくような寒さだ。まだ日が出ているのに、太陽の温かさが感じられない。百メートルくらいの四条大橋が、いつもより随分と長く感じられる。 綺麗な碁盤の目に描かれた京都の街を東西に貫...
第一章 東京

第二十四話「デビュー」

 年が明けて、正月は京都で過ごした。家族三人で、初詣は伏見稲荷大社に行き、おせちはオヤジが祇園の料亭でこしらえてもらったものを食べた。今年から、いよいよ社会人としての生活がスタートする俺は、身の引き締まる思いで、三が日を堪能した。  本来で...
第一章 東京

第二十一話「先生」

 ベッドの上で胡座をかいたオヤジは「迎えに行かれへんかって、ごめんな。」と言う。自宅で倒れているところを、たまたま回覧板を持ってきた近所の人に発見されて、病院に搬送されたと聞いて、朝一番の新幹線で飛んできたのに、なんだか元気そうだ。「起きて...
第一章 東京

第十四話「大株主」

 俺が京都へ帰ると、オヤジは俺を連れて、祇園の高級クラブに行きたがる。俺にクラブでの遊び方を教えてくれたのはオヤジで、最初のころは大人の世界を垣間見れると大喜びで連れて行かれたんだけど、このところ、ちょっと遠慮したいと思い始めている。「ヒロ...
第一章 東京

第十三話「ええねん。」

 新幹線を降りて京都の空気を吸うと、安心感を覚える。中学一年生で四国・松山の学生寮に入って以来ずっと、実家を離れて生活しているけど、やっぱり自分の心のどこか奥底には、京都の人間だという記憶が残っているようだ。いや、離れて暮らしているからこそ...
第一章 東京

第十二話「玉突き」

 ハリウッド映画『ハスラー2』が劇場公開されてから2年が経つ。この2年間で東京や横浜の繁華街には、ビリヤード台を置いたプールバーが次々とオープンした。まるで自分がトム・クルーズが演じたビンセントになったかのように、猫も杓子もビリヤードに夢中...
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