ヒロキ

第一章 東京

第二十五話「お立ち台」

 地獄の坂を駆け上がった最後の馬が、いよいよゴールした。よく頑張った、精一杯に走り切りよった。すごいぞ。俺ひとり、両手をあげて拍手を送る。右手には、あの馬の単勝馬券を握り締めたままで。お前の最高の走りを見せてくれてありがとう。 良く見たら、...
第一章 東京

第七話「大丈夫。」

「アキコちゃんって、めっちゃ綺麗やねん。」「思い切って告白したら、どう?」「絶対に彼氏おるわ。おらんかっても俺なんか無理やわ。」「いないかもしれないでしょ。」「そら、そうやけど。」「ヒロくん、話がおもしろいし、優しいし、大丈夫だってば。」「...
第一章 東京

第六話「大学生活」

 大学に入学してから二年が経った。俺は、ニッポンの大学生の模範を示すかのような日々を送っている。ほとんど学校に近づくことはなく、来る日も来る日も、友達と遊び呆けていた。高校時代も、ラグビーに明け暮れ、夢中で勉強した記憶はないが、大学に入って...
序章 上京

第五話「マイ」

 服を脱ぎながら俺は「今、受験のために東京に来てて、ちょっと息抜きで遊びに来た。明日も早稲田の社会科学部の試験があるから。」と、聞かれてもないのに、自分が今置かれている状況を説明した。「しっかり疲れをとって、明日のテストも頑張ってね」と元気...
序章 上京

第四話「出会い」

 ソファー席に俺ひとりになってしまった。ふと、東京という初めての土地に来て、ひとりになっている自分に寂しさを感じる。大学入試のために東京に出てきて、明日も朝から試験だというのに、俺はいったい何をやっているんだろう。本当に今、俺はここに居て良...
序章 上京

第二話「老け顔」

 ニキビ面でオッサンみたいな老け顔の自分が、好きじゃない。 俺の顔は母親に似ていると親戚からは言われるが、母親に似ていてオッサン顔というのが一体どういうことなのか、俺には理解できない。ラグビー部の主将であることを前面に押し出して、なんとか付...
序章 上京

第一話「大学受験」

「ああ、オヤジかぁ。ヒロキや、ヒロキ。今日の試験も難しかったけど、やれるだけのことはやったわ。明日も朝から社会科学部の試験やし、勉強せなアカンから、もうデンワ切るで。」  大学受験のために上京して滞在しているホテルのフロントで、公衆電話の受...
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