ジュンコ

第三章 さらに京都

第百話「最後」

 ミナミの男に思いっきり殴られて顔面が二倍くらいに腫れている山下さんを表の接客係りにするわけにもいかないので、一週間ほどは俺が受付に立った。とはいえ、アルバイトも増員して、オープニングスタッフの松木君と長谷川君が先頭に立って頑張ってくれてる...
第三章 さらに京都

第九十三話「ピンクデザイア」

 珍しく気合の入った表情を浮かべて、「いよいよやな。」と何度も繰り返し言う山下さんの姿を見て、俺まで緊張してきた。店の場所を確認する電話が、朝から五回くらいかかって来たから、今日の客はゼロではなさそうだ。ピンサロを開業しようって決めてから三...
第三章 さらに京都

第九十二話「公安」

 山崎先生が、公安のひとを連れて来た。見るからにボスの風格を漂わせた五十過ぎくらいのオッサンと、その部下が二人。先生は、ボスと顔なじみのようで、図面と照らし合わせながら、テーブルの高さや、照明の数と明るさ、通路の幅などを計測している脇に立っ...
第一章 東京

第二十五話「お立ち台」

 地獄の坂を駆け上がった最後の馬が、いよいよゴールした。よく頑張った、精一杯に走り切りよった。すごいぞ。俺ひとり、両手をあげて拍手を送る。右手には、あの馬の単勝馬券を握り締めたままで。お前の最高の走りを見せてくれてありがとう。 良く見たら、...
第一章 東京

第十七話「すっぽん」

 咄嗟に「違うねん。」と言った。でも、窓の外にいるアキコの耳には届くわけがない。急いで窓を開けようとしたとき、アキコが「サイテイ」と言った。もちろん、アキコの声は聞こえないんだけど、間違いなくアキコは“最低”と言った。「誰?だれ?」と何度も...
第一章 東京

第十六話「肩越し」

 ひとりの女は熟睡していて、もうひとりの女は電話で俺と話している。つまり、二人とも俺の姿は見えていないし、俺を挟んで両側に対峙していることには気づいていない。とにかく気持ちを落ち着けよう。焦ったら負けだ。「ねーねー、ヒロくん。聞こえてる?」...
第一章 東京

第十五話「ツイてる男」

 完全に飲み過ぎた。昼過ぎに渋谷の駅前で待ち合わせて、男だらけで飲み始めた。「昼から飲むビールは最高やな。」なんて言いながら、ビールをガブガブと飲み続けた。スタートが早いから、ほどほどで切り上げようと思っていたけど、夕方を過ぎた頃から、高校...
第一章 東京

第十四話「大株主」

 俺が京都へ帰ると、オヤジは俺を連れて、祇園の高級クラブに行きたがる。俺にクラブでの遊び方を教えてくれたのはオヤジで、最初のころは大人の世界を垣間見れると大喜びで連れて行かれたんだけど、このところ、ちょっと遠慮したいと思い始めている。「ヒロ...
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