第五章 雄琴

第五章 雄琴

第二百十四話「ハートブレイク」

 カバンのなかを入念にチェックした。すでに朝から三度目だけど、いったん中身を全部取り出して、何か不審なものが入っていないか、手で触り、目で見て、確認した。特にサイドポケットには何度も手を突っ込んでみた。銀行の通帳などを入れてある小さなポーチ...
第五章 雄琴

第二百十三話「悪夢」

 雄琴のソープランドの売買の本契約が完了し、ピチピチグループ史上最大の投資額となる大規模な改修工事が始まった。プライベートでも、カオルコが見事にお受験を乗り越え、お嬢様大学の付属小学校への入学が決まった。公私ともに明るいニュースがあるのに、...
第五章 雄琴

第二百十二話「恐怖と悲しみ」

 いつまで俺は正座を続ければ良いんだろうか。この女の子の一人暮らしには最適な小さな部屋に、俺と、ミカと、そしてサエコの三人がいるのは、何故だろう。誰がどう見ても、俺は絶体絶命の大ピンチの真っただ中にいるんだけど、どういうわけか俺自身はとても...
第五章 雄琴

第二百十一話「ウソ」

 「嘘つきの浮気野郎!おるのは分かってんねんで!おい、噓つき野郎!」と叫びながら、壊れてしまいそうなくらい思いっきり扉を叩いたり、蹴ったりと騒ぎ立てるサエコに耐えかねて、ミカが玄関の扉を開け、サエコを室内に招き入れた。俺は慌てて服を着ようと...
第五章 雄琴

第二百十話「ピンポーン」

 プライベートに連動するように、仕事の方でもモヤモヤした状態が続いた。春先には本格的に動き出した雄琴出店プロジェクトだけど、結局、ソープランドの譲渡契約さえ締結することが出来ずに、そのまま年を越してしまった。出鼻をくじかれたから、徐々に俺の...
第五章 雄琴

第二百九話「反省」

 シズエのように包丁を持ち出して追い回されるようなことは無かったけど、それでも身体のあちこちをグーで殴られたり、枕で頭を叩かれたりと、完全なサンドバック状態のまま、俺は謝り続けた。とにかく「もうしません!」と「許してください!」を繰り返すだ...
第五章 雄琴

第二百八話「パーティ」

 部下と一緒に楽しく酒を飲んで、そのままベッドに倒れ込んで、朝まで寝てしまった。あまり寝付きの良い方ではないから、酔っぱらったままの勢いで寝た方が、しっかりと深い眠りに入れて、翌朝も気持ちよく目覚められる。昨晩は、うちに帰ってきたらサエコが...
第五章 雄琴

第二百七話「メッセージ」

 すすきのの店が全く期待通りの結果を出せず、担当のクリちゃんが軽い鬱状態になってしまっているらしい。うちのグループが京都以外で出した初めての店舗で、俺を含め幹部それぞれが出資をしている店舗でもあるから、うまくスタートして欲しかったけど、新天...
第五章 雄琴

第二百六話「ハードとソフト」

 ピチピチグループを代表する最高の店舗を作らなければならない。これまで会長から褒められたことなんて数えるほどしかないけど、雄琴のソープランド開業プロジェクトを任せてもらえたということは、俺のことを認めてくれている証拠だ。これは絶対に失敗でき...
第五章 雄琴

第二百五話「相槌係」

 カオルコのお受験面接の当日の朝、気持ちよく寝ているところをサエコに叩き起こされた。まだ朝の六時半、もう少し寝かせて欲しいとサエコの手を払いのけたんだけど、何度も身体を揺すられて、仕方なく起き上がった。なにか文句を言ってやろうと思ったものの...
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