第四章 やはり京都

第四章 やはり京都

第百二十話「グループ」

 ファッションヘルスの新人の仕事は、トイレ掃除に始まり、精子まみれのタオルの入った袋の運び出し、そして、女の子たちのパシリ。とはいえ、早番で出勤している女の子は、たったの三人しかおらず、来客数もさほど多くないから、運ぶタオルも少ないし、パシ...
第四章 やはり京都

第百十九話「ウッチー」

 京都・祇園の切り通し、ほんの二百メートル足らずの小道には、石畳の通りに古くからの町家が立ち並び、これぞ京都という風情がある。昼間は観光客が途絶えることなく、舞妓さんが姿を見せれば小さな歓声が沸く。日が暮れて、町家の提灯に火が灯り始めると、...
第四章 やはり京都

第百十八話「真っ直ぐ」

 あまりダラダラと無駄な日々を送っているのも、勿体ない。こういう思いが満ちてくると、いよいよ動く時だ。預金通帳を見ると、ピンクデザイアを始める前と同じくらいの残高になっている。だから、もう一度、自分の店を開くことも出来る。きっと、吉江は喜ん...
第四章 やはり京都

第百十七話「味噌」

 朝十時ごろに目覚めて、リビングに行くと、サエコから「何か食べる?」と声がかかる。カオルコが産まれてから一年と数か月が経ち、母親として余裕が出来たのか、俺のことも気遣ってくれるようになった。昨日も、深夜まで飲んでたから、まだ昨日の酒が残って...
第四章 やはり京都

第百十六話「プリプリ」

 改めて栗橋から電話がかかってきた。汚れることを優先して、待ち合わせをスッポかしたから、さぞや怒っているだろうと思ったら、穏やかな声で「今晩こそ、ちゃんと来てくださいね。」と、随分と大人の対応だ。俺の部下だったころは、クリちゃんと呼んで、か...
第四章 やはり京都

第百十五話「一文無し」

 俺がさっさとピンクデザイアを閉めたから、「赤字続きで、儲かって無かったんだろう。」とか、「もう、アイツは一文無しやで。」などとウワサになっているらしい。俺に直接言って来ないから、わざわざ訂正して回る必要もないけど、それなりに儲かっている店...
第四章 やはり京都

第百十四話「汚れ」

 京都の老舗映画館「八千代館」には、定期的に通っている。新京極と裏寺町通を繋ぐ細い小道にある、知る人ぞ知るこの映画館は、いわゆるハッテン場と呼ばれる場所になっている。男性との出会いを求める男性が集まる夜の社交場と言えば、分かってもらえるだろ...
第四章 やはり京都

第百十三話「ほんまでんがな。」

 カオルコが満五歳の誕生日を迎え、すくすくと成長している。元気だけが取り柄のサエコは、さらに元気さを増していて、母親であることに喜びを感じ、日々の生活を送っているようだ。我が子の子育てに悲壮感を出されても困るから、サエコのように楽しそうに頑...
タイトルとURLをコピーしました