第二章 京都

第二章 京都

第五十七話「現実」

 シズエとの新婚生活は、まるで昼間のドラマのような冷たい嫉妬と憎悪に溢れている。朝、俺が目を覚ますと、隣の部屋からは寝言で何かを叫ぶ声が聞こえ、睡眠不足が続いている。シズエと結婚しなければ良かったと、毎日のように思っている。 俺が出掛ける準...
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第五十六話「理想」

 シズエとの新婚生活は、まるで月九のドラマのような温かい愛に溢れている。朝、俺が目を覚ますと、キッチンからは包丁で何かを刻む音が聞こえ、おはようのキスも欠かさない。シズエと結婚して良かったと、毎日のように思っている。 俺が出掛ける準備をして...
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第五十五話「花嫁」

 父親の腕に手をかけ、バージンロードを一歩一歩と俺の方へ向ってくるシズエの姿を見ながら、ついにこの日を迎えたという喜びと、やっと結婚準備の忙しさから解放されるという安堵の気持ち、そして、これからシズエと共に歩んでいく人生への期待感が入り混じ...
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第五十四話「特集」

 結婚準備を進めながらも、当然、仕事を休むわけにはいかない。女の子の管理も、店のイベントや宣伝も、備品の購入も、俺のマネージャーとしての仕事になっている。佐伯店長が、本気で俺のことを店長に育て上げようと考えてくれていて、色んなことにチャレン...
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第五十三話「山積み」

 本当に結婚なんかして大丈夫なんだろうか。いや、これまで散々遊んで来たんだから、もうそろそろ落ち着いて、身を固める方が良い。母方の祖父母に育てられ、たまにオヤジが遊びに連れて行ってくれるという不思議な家庭環境で育ったから、夫婦というものの典...
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第五十二話「引退」

 ハルカとの交際がバレたのに、まだこの店で働いているのが不思議な気分だ。なんだか地に足がついていないフワフワとした感じだけど、店長の優しさと男らしさに改めて酔いしれながら、目の前の仕事を次々と片付ける。  今日も平日なのに、相変わらず昼間か...
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第五十一話「解雇」

 とてつもなく長い時間が流れた。俺は、あまりの恐ろしさに佐伯店長の顔を見ることが出来ず、ただ目の前のテーブルの上の一点を見つめていた。店長が、次の言葉を発した瞬間に、「すみませんでした!」と大きな声で謝ろう。喉にタンが絡んでいる気がするけど...
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第五十話「直球」

 クルミちゃんと五軒をハシゴして、さすがに飲み過ぎた。身体がダルいし、頭が痛い。俺も少し落ち込んでいたところから復活したばかりで、妙にテンションを上げ過ぎた。今日のアルバイトは平田くんだし、午前中は少し身体を休めながら、午後から本気を出して...
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第四十九話「デート」

 ハルカの人気は、日増しに高まっているように感じる。出勤日のほとんどが予約で埋まっていて、三週間待ちでも良いからと予約だけして帰っていく客さえいる。マネージャーになって、初めてハルカの給料を見たときには、その金額の大きさに驚いたし、店長がハ...
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第四十八話「最高の」

 今日は朝から何だか気が重い。直接の原因はやっぱりミっちゃんのことなんだけど、他にも色んな不安が頭の中を駆け巡って、どうも調子が出ない。俺の右肩に、小さなミっちゃんが立っていて、ずっと耳元で「ちょっと相談が・・・」と言われているような気分だ...
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