第一章 東京

第一章 東京

第十五話「ツイてる男」

 完全に飲み過ぎた。昼過ぎに渋谷の駅前で待ち合わせて、男だらけで飲み始めた。「昼から飲むビールは最高やな。」なんて言いながら、ビールをガブガブと飲み続けた。スタートが早いから、ほどほどで切り上げようと思っていたけど、夕方を過ぎた頃から、高校...
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第十四話「大株主」

 俺が京都へ帰ると、オヤジは俺を連れて、祇園の高級クラブに行きたがる。俺にクラブでの遊び方を教えてくれたのはオヤジで、最初のころは大人の世界を垣間見れると大喜びで連れて行かれたんだけど、このところ、ちょっと遠慮したいと思い始めている。「ヒロ...
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第十三話「ええねん。」

 新幹線を降りて京都の空気を吸うと、安心感を覚える。中学一年生で四国・松山の学生寮に入って以来ずっと、実家を離れて生活しているけど、やっぱり自分の心のどこか奥底には、京都の人間だという記憶が残っているようだ。いや、離れて暮らしているからこそ...
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第十二話「玉突き」

 ハリウッド映画『ハスラー2』が劇場公開されてから2年が経つ。この2年間で東京や横浜の繁華街には、ビリヤード台を置いたプールバーが次々とオープンした。まるで自分がトム・クルーズが演じたビンセントになったかのように、猫も杓子もビリヤードに夢中...
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第十一話「稲村ヶ崎」

 さっき出会ったばかりの女子大生の女の子を助手席に乗せて、県道204号線を鎌倉方面へと向かう。俺の愛車はホンダ・プレリュード、こいつを見て文句を言う女の子なんて居ない。もちろん、オヤジから貰った金で買ったクルマだけど、そんなことをわざわざ言...
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第十話「伝言ダイヤル」

 朝7時、アパートの自室の電話が鳴った。こんな時間に誰やねんと、ちょっとイラっとしたが、長々と鳴り続ける呼び出し音に根負けして、受話器を取った。 「ヒロキ、電話代が十五万円って、どういうことやねん。」日本の電話の定番である「もしもし」を言わ...
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第九話「バラの花束」

 彼女が来たら、第一声は何と言えば良いのだろうか。カッコつける必要はないから、俺らしく自然体で良いんだと言い聞かせてみても、その自然体というものが何なのかさえ分からなくなってくる。早く来て欲しいという気持ちが半分と、まだ来て欲しくないという...
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第八話「アキコちゃん」

 小学校四年生の夏休み、オヤジが俺と弟を呼んで話を始めた。母親と離婚したという話だった。数年前から自宅には母親はいなかったんだけど、離婚したという事実をオヤジから打ち明けられて、子供ながらに驚いた。悲しみというよりも、驚きのほうが強かったよ...
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第七話「大丈夫。」

「アキコちゃんって、めっちゃ綺麗やねん。」「思い切って告白したら、どう?」「絶対に彼氏おるわ。おらんかっても俺なんか無理やわ。」「いないかもしれないでしょ。」「そら、そうやけど。」「ヒロくん、話がおもしろいし、優しいし、大丈夫だってば。」「...
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第六話「大学生活」

 大学に入学してから二年が経った。俺は、ニッポンの大学生の模範を示すかのような日々を送っている。ほとんど学校に近づくことはなく、来る日も来る日も、友達と遊び呆けていた。高校時代も、ラグビーに明け暮れ、夢中で勉強した記憶はないが、大学に入って...
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