第四章 やはり京都

第百五十六話「祝い」

 翌朝、いつもより早めに家を出て、病院に立ち寄った。サクラコは、新生児室で寝ているため、ガラス越しに眺めるだけで、話しかけたり抱きかかえたりは出来なかった。サエコの方も、昨日は元気そうにしていたけど、やはり大仕事を終えて疲れがたまっていたの...
第二章 京都

第七十四話「背中」

 今日も朝からシズエが病室に来てくれている。すでに俺の入院生活は、一ヶ月と八日目を迎えた。時折、激しい頭痛や吐き気、腹痛などに襲われるけど、精密検査を受けても、身体には特に異常は見つからず、精神的な疲労が原因ではないかと、医者からも明確な病...
第二章 京都

第七十三話「点滴」

 点滴を取り替えに来てくれた上西さんという看護婦さんが、めっちゃ可愛かった。欧米人とのハーフなのかな。彫りの深い顔、特に目元の美しさに目を奪われた。患者と看護婦の情事を夢見るけど、朝から晩まで、ずっとシズエが隣におるから、何もでけへんやん。...
第一章 東京

第二十五話「お立ち台」

 地獄の坂を駆け上がった最後の馬が、いよいよゴールした。よく頑張った、精一杯に走り切りよった。すごいぞ。俺ひとり、両手をあげて拍手を送る。右手には、あの馬の単勝馬券を握り締めたままで。お前の最高の走りを見せてくれてありがとう。 良く見たら、...
第一章 東京

第二十四話「デビュー」

 年が明けて、正月は京都で過ごした。家族三人で、初詣は伏見稲荷大社に行き、おせちはオヤジが祇園の料亭でこしらえてもらったものを食べた。今年から、いよいよ社会人としての生活がスタートする俺は、身の引き締まる思いで、三が日を堪能した。  本来で...
第一章 東京

第二十一話「先生」

 ベッドの上で胡座をかいたオヤジは「迎えに行かれへんかって、ごめんな。」と言う。自宅で倒れているところを、たまたま回覧板を持ってきた近所の人に発見されて、病院に搬送されたと聞いて、朝一番の新幹線で飛んできたのに、なんだか元気そうだ。「起きて...
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