内藤

第四章 やはり京都

第百四十六話「鮫島」

 年が明けて、門松が取れると、プリプリの三階と四階の工事が始まった。ピチピチマダムという人妻専門を謳ったファッションヘルスが、春先にはオープンの予定だ。新店の店長は、会長がどこかから連れてきた鮫島という俺のひとつ年上の男らしい。自分が可愛が...
第四章 やはり京都

第百四十四話「入院」

 後頭部をスプレー缶で思いっきり殴られたらしい。俺のことを振り払って逃げようとした泥棒は、すぐに駆けつけた綜合警備保障の警備員らに取り押さえられ、後から来た警察官によって暴行容疑で現行犯逮捕された。現在、東山警察署で取り調べ中とのこと。「十...
第四章 やはり京都

第百三十九話「自立」

 俺の周りの人びとの人生模様に触れて、他人事だと冷めた目で眺めていればいいものを、少し寂しい気持ちになっている。タケちゃんなら鼻で笑って「さぁ、朝まで飲もう。」と言ってくれるかもしれない。サエコなら真面目な顔で「そうならんように自分が頑張れ...
第四章 やはり京都

第百三十一話「イツキ」

 店を良くするために頑張ってくれるスタッフには、俺も精一杯の感謝と愛情を持って接するけど、辞めたいという奴がいたら、それはそれで仕方がない。だから、いきなり最初のミーティングから俺に対する敵意を見せていた西谷が「辞めさせてもらいます。」と言...
第四章 やはり京都

第百二十九話「挨拶」

 俺の店長就任祝いだと言われたはずの飲み会は、半分くらい会長からの説教で終わった。説教の内容は、ほとんどがプリプリの現状に対するもので、本来であれば「内藤さんのやったことですから。」で済む話なんだけど、既に俺が店長を任されたんだから、過去も...
第四章 やはり京都

第百二十六話「報酬」

 プリプリ改造作戦を始めてから、昼間の仕事と、夜のミーティングで、ほとんどの時間を費やしてしまっている。だから、家に帰っても、ほとんど寝るだけ。愛しのカオルコちゃんとも一緒に遊ぶ時間がとれない。それでもサエコは、俺のプリプリ就職を、喜んでく...
第四章 やはり京都

第百二十五話「我慢」

 俺が頑張れば頑張るほど、店にお客様が来て、店が儲かるから、内藤店長が調子に乗って、吉田が調子に乗って、俺がイジめられる。つまり、俺が頑張れば頑張るほど、俺がイジめられる。なんだろう、この悲しい現実は。「おーい、田附くん。」「はい、店長。」...
第四章 やはり京都

第百二十四話「兆し」

 自分を押し殺してプリプリで働き、お客様の率直な意見を聞きにブクープへ行くという流れが、俺の日常になってきた。作戦開始から一週間が経ち、「面白そうだから、俺も行ってみよう。」というお客様が増えて、次々とプリプリの改善すべきポイントが明らかに...
第四章 やはり京都

第百二十三話「始動」

 俺がどれだけヤル気になったところで、出来ることは限られている。風俗店における店長というのは絶対的な存在で、それに抗うことは許されない。店長は雲の上の存在、俺は地面にひれ伏す平社員だ。だから、俺は、ただ、一生懸命に仕事をこなすしかない。「ナ...
第四章 やはり京都

第百二十話「グループ」

 ファッションヘルスの新人の仕事は、トイレ掃除に始まり、精子まみれのタオルの入った袋の運び出し、そして、女の子たちのパシリ。とはいえ、早番で出勤している女の子は、たったの三人しかおらず、来客数もさほど多くないから、運ぶタオルも少ないし、パシ...
タイトルとURLをコピーしました