マイ

第四章 やはり京都

第百六十三話「源氏名」

 たまたま夏休みで京都観光に来ていたところをナンパして捕まえたノブエちゃんと、ヤスコちゃんの大学生ふたり組が、面接に来た。お揃いのブランド物のバッグを持ち、艶々としたブラウンのロングヘヤーも同じで、どことなく雰囲気も似ているから、最初は姉妹...
第四章 やはり京都

第百二十五話「我慢」

 俺が頑張れば頑張るほど、店にお客様が来て、店が儲かるから、内藤店長が調子に乗って、吉田が調子に乗って、俺がイジめられる。つまり、俺が頑張れば頑張るほど、俺がイジめられる。なんだろう、この悲しい現実は。「おーい、田附くん。」「はい、店長。」...
第二章 京都

第七十七話「別れ」

 あの日以来、シズエには会っていない。同じ病院のなかで別の個室に移っただけだから、その気になれば、俺のことを見つけ出すのは容易だったはずだ。それでも、シズエが俺の前に現れないのは、全てを察したからだと思う。シズエと俺は、一緒にいることによっ...
第一章 東京

第九話「バラの花束」

 彼女が来たら、第一声は何と言えば良いのだろうか。カッコつける必要はないから、俺らしく自然体で良いんだと言い聞かせてみても、その自然体というものが何なのかさえ分からなくなってくる。早く来て欲しいという気持ちが半分と、まだ来て欲しくないという...
第一章 東京

第八話「アキコちゃん」

 小学校四年生の夏休み、オヤジが俺と弟を呼んで話を始めた。母親と離婚したという話だった。数年前から自宅には母親はいなかったんだけど、離婚したという事実をオヤジから打ち明けられて、子供ながらに驚いた。悲しみというよりも、驚きのほうが強かったよ...
第一章 東京

第七話「大丈夫。」

「アキコちゃんって、めっちゃ綺麗やねん。」「思い切って告白したら、どう?」「絶対に彼氏おるわ。おらんかっても俺なんか無理やわ。」「いないかもしれないでしょ。」「そら、そうやけど。」「ヒロくん、話がおもしろいし、優しいし、大丈夫だってば。」「...
序章 上京

第五話「マイ」

 服を脱ぎながら俺は「今、受験のために東京に来てて、ちょっと息抜きで遊びに来た。明日も早稲田の社会科学部の試験があるから。」と、聞かれてもないのに、自分が今置かれている状況を説明した。「しっかり疲れをとって、明日のテストも頑張ってね」と元気...
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