シズエ

第五章 雄琴

第二百九話「反省」

 シズエのように包丁を持ち出して追い回されるようなことは無かったけど、それでも身体のあちこちをグーで殴られたり、枕で頭を叩かれたりと、完全なサンドバック状態のまま、俺は謝り続けた。とにかく「もうしません!」と「許してください!」を繰り返すだ...
第四章 やはり京都

第百五十六話「祝い」

 翌朝、いつもより早めに家を出て、病院に立ち寄った。サクラコは、新生児室で寝ているため、ガラス越しに眺めるだけで、話しかけたり抱きかかえたりは出来なかった。サエコの方も、昨日は元気そうにしていたけど、やはり大仕事を終えて疲れがたまっていたの...
第三章 さらに京都

第百一話「期待」

 いきなり再婚という流れになって、そのままの勢いに乗って、すぐにハワイのマウイ島に式場を予約して、二人だけの結婚式を挙げた。どうしても海外が良いというサエコの希望を叶えるには、とにかく時間が無かった。お腹の中の子供に負担がかからないギリギリ...
第二章 京都

第七十七話「別れ」

 あの日以来、シズエには会っていない。同じ病院のなかで別の個室に移っただけだから、その気になれば、俺のことを見つけ出すのは容易だったはずだ。それでも、シズエが俺の前に現れないのは、全てを察したからだと思う。シズエと俺は、一緒にいることによっ...
第二章 京都

第七十六話「変化」

 無我夢中で話をした。頭のなかのシズエを抑えながら、自分の想いを伝える作業に追われて、先生の言葉に耳を傾ける余裕はないし、先生の表情を見ることなどハナから忘れていた。ただ、俺の状況を改善するためには、とにかくシズエとは離れなければならないと...
第二章 京都

第七十五話「まぶた」

 公衆電話を抱きかかえて泣き崩れている俺を、ナースセンターから飛び出してきた看護婦さんたちが病室まで運んでくれた。ベッドに横になったあとも、俺が落ち着くまで、しばらく見守ってくれていたと思う。何人かの看護婦さんの優しい視線に見守られながら、...
第二章 京都

第七十四話「背中」

 今日も朝からシズエが病室に来てくれている。すでに俺の入院生活は、一ヶ月と八日目を迎えた。時折、激しい頭痛や吐き気、腹痛などに襲われるけど、精密検査を受けても、身体には特に異常は見つからず、精神的な疲労が原因ではないかと、医者からも明確な病...
第二章 京都

第七十三話「点滴」

 点滴を取り替えに来てくれた上西さんという看護婦さんが、めっちゃ可愛かった。欧米人とのハーフなのかな。彫りの深い顔、特に目元の美しさに目を奪われた。患者と看護婦の情事を夢見るけど、朝から晩まで、ずっとシズエが隣におるから、何もでけへんやん。...
第二章 京都

第七十二話「タオル」

 朝八時半に起きて、九時半に店を開けて、夕方に全体ミーティングをして、午後八時には店を出る。こんな単調な毎日の繰り返しが、心地よい。大きな変化を望まず、ただ力強い組織を作ろうと、淡々と毎日を過ごしている。 この数ヶ月、ずっと変わらぬ毎日だっ...
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