イツキ

第四章 やはり京都

第二百話「自分のペースで」

 ミカの部屋に立ち寄って、一週間前から置いたままになっていた道後温泉のお土産を持って、自宅へと戻った。返品が出来なかった福岡のお土産に関しては、ミカが職場や知り合いなどに配って処理してくれるというので任せた。サエコが喜んでくれるだろうと思っ...
第四章 やはり京都

第百八十六話「分かりました」

 ずっと雲の上の存在だと思っていた会長と、こうして二人だけになることなんて、たぶん初めてだ。いつもは威圧感を周りに撒き散らしているような会長だけど、今日は妙な安心感のようなものを感じる。そういえば佐伯さんが昔、「あの人には全部が見えてる。」...
第四章 やはり京都

第百六十二話「前田企画」

 五山の送り火が近づき、相変わらず暑い。遅番で出勤早々の前田が「暑いですねぇ。」と言いながら事務所に入ってくるから、うるさいなぁと思いつつも無視していたら、俺が聞こえてないと思ったのか何度も繰り返し「暑いですねぇ。」と連呼する。「暑いのは分...
第四章 やはり京都

第百三十八話「犬」

「あたし、アイツに騙されてただけやねん。」「え、だれ?」「ここの店長してた人に。」「ウッチーやろ?」「あ、その呼び方、めっちゃ怒ってたで。」「店長って呼べって言われてたわ。」「アイツ、人間のウツワが小さいからなぁ。」「そやねん。」「偉そうに...
第四章 やはり京都

第百三十七話「五木」

 俺がプリプリの店長になってから三カ月が過ぎた。自分のやりたいようにやれる店を作るには、とにかく人材が必要だから、男性スタッフの強化と、女の子の大量募集をして、中身を一新させた。店長就任当初は、前店長のウッチーが言ったことや、やったことを盾...
第四章 やはり京都

第百三十一話「イツキ」

 店を良くするために頑張ってくれるスタッフには、俺も精一杯の感謝と愛情を持って接するけど、辞めたいという奴がいたら、それはそれで仕方がない。だから、いきなり最初のミーティングから俺に対する敵意を見せていた西谷が「辞めさせてもらいます。」と言...
第四章 やはり京都

第百三十話「西谷」

 髪の毛をワックスで固めて、口の上にヒゲを蓄えた硬派なヤンキー風の男は、媚びるような姿勢を一切見せず、俺の目を直視しながら、答えを待っている。今宮マネージャーへの忠誠を示したいのか、俺への反発なのか分からないけど、店長初日のミーティングくら...
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