アルバイト

第三章 さらに京都

第百話「最後」

 ミナミの男に思いっきり殴られて顔面が二倍くらいに腫れている山下さんを表の接客係りにするわけにもいかないので、一週間ほどは俺が受付に立った。とはいえ、アルバイトも増員して、オープニングスタッフの松木君と長谷川君が先頭に立って頑張ってくれてる...
第三章 さらに京都

第九十八話「昇格」

 オープン記念イベントの興奮が未だに残る四日目、朝から夕方までが三十分五千円、夕方以降は二十時までが六千円、それ以降からラストまでが七千円という通常営業に切り替えたが、それでも、平日としては満足な数のお客様に来ていただいている。二十二時を過...
第三章 さらに京都

第九十四話「海綿」

 店の慌ただしさを見て、遅番で出勤してきた女の子たちが驚いている。昨日まで、静かだったこの建物に、一気に息が吹き込まれた。夕方が近づくにつれ、来客数は増え続けている。店外に待たせるわけにもいかないので、建物のなかには入ってもらうけど、待合室...
第二章 京都

第三十四話「金券」

 アルバイト三日目。西城マネージャーの顔を想像するだけで、気分が憂鬱だ。女の子の部屋の清掃をしながらも、いきなり後ろから殴られるんじゃないかと、ビクビクと怯える。入り口の扉が開く度にゾッとするから、女の子が出勤してくる度に、身体が震える。「...
第一章 東京

第二十話「十万円」

 「もうちょっと何か俺の自己紹介とかさせてくれても良いのにな。」と思いながら、便器を磨く。数日前に小便をしたトイレを、俺が掃除しているのかと思うと、ついついニヤけてしまう。俺の歌舞伎町の裏の世界の歩みは、トイレ掃除から始まった。ピカピカにし...
第一章 東京

第十九話「裏方」

 大学受験のために来た東京で、初めて訪れた新宿歌舞伎町は、華やかで煌めいていて、でもアンダーグランドの匂いがして、怖い街だった。もう何度目かなんて分からないけど、いまだに威圧感を感じなくはない。行き交う人たちを見ながら「あのオッサン、ヤクザ...
第一章 東京

第十話「伝言ダイヤル」

 朝7時、アパートの自室の電話が鳴った。こんな時間に誰やねんと、ちょっとイラっとしたが、長々と鳴り続ける呼び出し音に根負けして、受話器を取った。 「ヒロキ、電話代が十五万円って、どういうことやねん。」日本の電話の定番である「もしもし」を言わ...
第一章 東京

第八話「アキコちゃん」

 小学校四年生の夏休み、オヤジが俺と弟を呼んで話を始めた。母親と離婚したという話だった。数年前から自宅には母親はいなかったんだけど、離婚したという事実をオヤジから打ち明けられて、子供ながらに驚いた。悲しみというよりも、驚きのほうが強かったよ...
第一章 東京

第六話「大学生活」

 大学に入学してから二年が経った。俺は、ニッポンの大学生の模範を示すかのような日々を送っている。ほとんど学校に近づくことはなく、来る日も来る日も、友達と遊び呆けていた。高校時代も、ラグビーに明け暮れ、夢中で勉強した記憶はないが、大学に入って...
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