第三章 さらに京都

第三章 さらに京都

第百十二話「おしまい」

 坂下事務所からの着信があるだけで、憂鬱な気分になる。もしかしたら「田附さん、今月の書類は、完璧でした。」って褒められる内容かもしれないと、無理やりにテンションをあげて電話に出るけど、やっぱり、これがダメ、あれがダメと、提出した書類の枚数よ...
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第百十一話「辞職」

 山下さんが、店を辞めたいと言ってきた、ついさっき。女の子の入れ替わりが激しくて、気苦労が絶えないとは言え、売り上げは順調に伸びているから、何とか頑張って欲しいとは言ったけど、既に腹は決まっているようで、俺の言うことに頷きはするけど、どうも...
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第百十話「忙殺」

 祇園と川を一本隔てた木屋町は、若者が集まる新しい歓楽街というイメージだけど、やっぱり古くから営業している老舗の飲食店も、数多くある。俺たちのような風俗営業の人間は、何とか地域の人たちと共存共栄したいと望んでいるけど、やっぱり逆の立場から見...
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第百九話「疎外感」

 朝八時過ぎに、経理を依頼している坂下事務所から電話で呼び出された。俺、営業に関することなら何でも出来る自信があるんだけど、正直、申請とか税金とか、そういうのが苦手だから、とにかく全てを任せてある。毎月、月末までに二十日までの売り上げや給料...
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第百八話「カオルコ」

 そういえば、シズエは元気にしてるんかな。病院に見舞いに来てくれたのを最後に、もう二年以上も一切会ってないけど、良い男を見つけたんかな。再婚したんかな。まもなく俺に子供が出来るって聞いたら、ビックリするやろな。幸せに暮らしててくれたら、ええ...
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第百七話「我が子」

 この俺が、ひとつの生命の起源になり、そして、ひとりの人間の親になるということなんだけど、全く実感が沸かない。本当に産まれて来るんだろうか、ちゃんと育てられるんだろうか、どこか他人事のように思ってしまうけど、きっと数時間後に、俺は人生で初め...
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第百六話「とりあえず」

 これは、間違いなくあの人の仕業だ。山下さんに呼び出されてピンクデザイアに駆け戻ると、大量の観葉植物がエントランスを埋め尽くしている。二十本か、それ以上。 「なにこれ?」「名前は分からないですね。」「いや、だから、木の種類は聞いてないって。...
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第百五話「裏切り者」

 いきなり「裏切り者」と言われて、その通りだとは思ったけど、このデカい声で言われると、心と身体に響く。どうやら、佐伯専務も、俺と会長を遭わせるつもりはなかったみたいだ。最後に会ったのは俺が入院する前だから、もう二年半ぶりくらいの再会。 「元...
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第百四話「手紙」

 ピンサロは、安い部類に入る風俗だから、女の子の受け取れる給料も、当然のことながら安い。その分、仕事内容もソフトだから、ファッションヘルスで働くのには抵抗があるという女の子にとっては、良い仕事だ。とはいえ、かわいい子ならキャバクラの方が稼げ...
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第百三話「感謝」

 シャワーを設置してから僅か二日で、警察が来て、すぐに使用を中止するようにと言われた。そのうちバレるかもしれないとは思っていたけど、たった二日ってどういうことやねん。大々的に宣伝をしたわけじゃないから、誰かがチクったんやろうけど、それにして...
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