第二章 京都

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第七十七話「別れ」

 あの日以来、シズエには会っていない。同じ病院のなかで別の個室に移っただけだから、その気になれば、俺のことを見つけ出すのは容易だったはずだ。それでも、シズエが俺の前に現れないのは、全てを察したからだと思う。シズエと俺は、一緒にいることによっ...
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第七十六話「変化」

 無我夢中で話をした。頭のなかのシズエを抑えながら、自分の想いを伝える作業に追われて、先生の言葉に耳を傾ける余裕はないし、先生の表情を見ることなどハナから忘れていた。ただ、俺の状況を改善するためには、とにかくシズエとは離れなければならないと...
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第七十五話「まぶた」

 公衆電話を抱きかかえて泣き崩れている俺を、ナースセンターから飛び出してきた看護婦さんたちが病室まで運んでくれた。ベッドに横になったあとも、俺が落ち着くまで、しばらく見守ってくれていたと思う。何人かの看護婦さんの優しい視線に見守られながら、...
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第七十四話「背中」

 今日も朝からシズエが病室に来てくれている。すでに俺の入院生活は、一ヶ月と八日目を迎えた。時折、激しい頭痛や吐き気、腹痛などに襲われるけど、精密検査を受けても、身体には特に異常は見つからず、精神的な疲労が原因ではないかと、医者からも明確な病...
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第七十三話「点滴」

 点滴を取り替えに来てくれた上西さんという看護婦さんが、めっちゃ可愛かった。欧米人とのハーフなのかな。彫りの深い顔、特に目元の美しさに目を奪われた。患者と看護婦の情事を夢見るけど、朝から晩まで、ずっとシズエが隣におるから、何もでけへんやん。...
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第七十二話「タオル」

 朝八時半に起きて、九時半に店を開けて、夕方に全体ミーティングをして、午後八時には店を出る。こんな単調な毎日の繰り返しが、心地よい。大きな変化を望まず、ただ力強い組織を作ろうと、淡々と毎日を過ごしている。 この数ヶ月、ずっと変わらぬ毎日だっ...
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第七十一話「山科」

 朝八時半に起きて、九時半に店を開けて、夕方に全体ミーティングをして、午後八時には店を出る。ここまでは、いつもと一緒。でも、今日は、スキャンダルのある祇園ではなく、山科へと向かう。そう、シェリーちゃんが待っている山科へ。  あまりにあっさり...
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第七十話「四番」

 朝八時半に起きて、九時半に店を開けて、夕方に全体ミーティングをして、午後八時には店を出るという生活スタイルが定着してきた。会長に怒られて以来、もう一度、自分を見つめ直して、真剣に仕事に取り組んでいる。そして、仕事が終わったら、スキャンダル...
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第六十九話「スキャンダル」

 五分ほど待って、店内へと案内される。扉から一歩、足を踏み入れた途端、ユーロビートが全身を揺らす。ボーイの後ろをついて、席まで通される。男性客と向かい合って、膝の上に座っている女の子たちを見て、待たされたイライラが吹っ飛ぶ。俺の膝の上にも早...
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第六十八話「ソファー」

 西島くんに身体を激しく揺すられて、飛び起きるように目覚めた。シャツは汗でびしょ濡れだ。大声で「助けてください!」と叫んだ名残りが口元にあるんだけど、それが夢の中なのか、現実に口から声を発したのか分からない。何かの夢を見ていた気がするけど、...
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