この男、猥褻につき

夜の連続ブログ小説(ほぼ完全ノンフィクション)

第二百二十五話「ピチピチプレミアムへようこそ」

time 2017/05/15

第二百二十五話「ピチピチプレミアムへようこそ」

 男性スタッフ全員がエントランスに待ち構え、正午ちょうどにオープンしたピチピチプレミアムの最初のお客様となる八名を迎え入れた。お客様へのサービスをする部屋は全部で十二部屋あるものの、当面は二階にある八室のみを使用することにした。そして、本日の女の子の出勤人数も八人。末広がりの八並びで、なんとなく縁起が良い。

「いらっしゃいませ、ピチピチプレミアムへようこそ。」

 まずは浩平が指導の成果を見せる時間だ。お客様を待合室のソファー席へと案内する係は、そのまま飲み物を確認する係となり、おしぼりを持った別の男性スタッフがお客様ひとりひとりに頭を下げながら、改めて来店していだだいたことへの感謝の言葉を伝える。そして、飲み物が運ばれていくのを確認しながら、俺と浩平のふたりが登場して、店のシステムについて簡単に説明しながら、ひとり六万円の代金を受け取る。

「たずやん、すごいな。」
「ありがとうございます。」
「めっちゃ豪華やん、びっくりしたわ。」
「丸々改装したんで、大変でした。」

 ピチピチプレミアムの記念すべき最初のお客様は、映画を中心に活躍している俳優さんたちだ。男性スタッフには事前に伝えてあったから、みんな平静を装って接客をしているけど、なかには全国区で名前が売れている俳優さんもいて、内心ではドキドキしながら接客しているに違いない。もちろん、たまたま来てくれたわけではなくて、オープン最初のお客さんとして来てくれませんかと俺から誘って来店してもらった。

「では、お待たせしました。女の子をご紹介いたします。」
「よっ、待ってました。」

 雄琴に来てテンションが上がっているのか、いつも会う時には物静かな俳優さんも、いちいち良いリアクションをしてくれて嬉しい。男性スタッフに連れられてきた女の子たち八人が横一列に並び、右側の女の子から順番に、それぞれのお客様に紹介していく。事前に聞いたお客様の好みと合っているかどうか不安になる瞬間だけど、やはりテンションの高い皆さんが「おー!」とか「きれい!」とか分かりやすいリアクションをしてくれて、かなり安心した。

「最後に、ケイコさんです。」
「ケイコです。本日は、よろしくお願いいたします。」

 俺がアチコチを駆け回って見つけてきて、キョウカさんが技術指導してくれた女の子たちが、いよいよお客様たちのお相手をする時が来た。それぞれの女の子に対して思い入れがあるけど、やっぱり特にケイコちゃんがソープ嬢としてデビューすることには格別な思いがある。

 そうそう、今朝のことなんだけど、八部屋に対して、八人の女の子が出勤して、八人のお客様をお迎えすることが決まっていたのにもかかわらず、サクラさんという女の子が体調不良のために出勤できそうにないとキョウカさんに連絡してきた。オープンまで三時間を切っているから、もう無理かもしれないという諦めの気持ちを抱きつつ、出勤予定じゃない女の子たちに対して、キョウカさんと浩平と俺で手分けして電話をかけまくった。もちろん、ほとんどの子が急な出勤要請には応えてくれなかったけど、ひとりだけ即答でオッケーしてくれたのが、ケイコちゃんだった。だから、ケイコちゃんにとっては突然のデビューになってしまった。

「では、あちらの奥の階段から二階へお上がりください。」
「たずやん、ありがとう。いってきます。」
「はい、ごゆっくりお楽しみください。」

 どんな風俗でも同じだけど、お客様を部屋へと送り出したら、あとは女の子たちに全てを委ねるしかない。八名のご一行が二階へと消えていくのを見送ったら、もう何も出来ることはない。あとは、キョウカさんの講習の成果が発揮されることを祈るしかない。

「社長、大変です!」
「なんや、どないしたん?浩平」
「予約の電話がどんどん掛かってきてます。」
「ほんまに?」

 オープン前に俺が仕掛けた集客作戦が、見事に大当たりしたらしい。お客様を部屋へと送り出して安心してる場合とちゃうわ。営業初日からメッチャ忙しくなりそうや。


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