この男、猥褻につき

夜の連続ブログ小説(ほぼ完全ノンフィクション)

第百九十四話「噂の」

time 2017/02/22

第百九十四話「噂の」

 いよいよ明日から松山出張だ。高校時代に遊びに行ったことがあるピンサロなどは、もう無くなってしまっているだろうけど、久しぶりに故郷に帰るようで気分が弾む。しかも、今回は、俺が担当することになる店の視察だから、札幌の時とは気合いの入れようが違う。あの街で最も有名なファッションヘルスを作ったるねん。

「たぶん、戻りは来週の日曜くらいになるわ。」
「うん、分かった。頑張って来てな。」
「カオルコとサクラコにも、何か土産を買うてくるから。」
「私の分もな。」
「分かった、分かった。」

 また京都駅まで見送りに行くと言うサエコを振り切って、自宅を出た。今晩はミカと一緒に乱交パーティに参加して、明日の朝から出張だから、ついて来られても困る。大きな荷物を持って店に来たから、和臣に「出張は明日でっすよね?」と聞かれて、「うん、そうや。」と普通に答えたけど、まぁ、どう考えても怪しいよな。

 今日の乱交パーティは、俺の主催ではなく、例のスワップ掲示板で他の人が呼びかけていたものだ。掲示板には「第六十五回」なんて書かれていたけど、本当なのかどうかは分からない。ただ、参加者が二十名近くいるらしく、大規模なパーティなのは間違いなさそうだ。

「半分が男として、私、十人は無理だよ。」
「いや、別に全員とやる必要ないから。」
「あ、そうなんだ。」

 初めてのスワップ会以来、ミカは大人数でやることに目覚めたようで、今日のパーティも数日前から楽しみにしている。サエコにも以前、付き合っている頃か、結婚したばかりの頃に、乱交パーティに行こうと誘ったことがあるけど無碍に断られたから、ミカが一緒に楽しんでくれることが嬉しい。

「はじめまして、タズヤンです。」
「ミカです。」
「あ、噂のミカちゃん登場や!」
「え?噂の?」
「そうそう、とある掲示板で話題のミカちゃん。」
「え、そうなんですか?」

 男性も女性も、参加者のほとんどが俺には興味を示さず、ミカの方にばかり話しかける。たしかに、こんなに可愛い女の子が乱交パーティに来たんだから、顔がデカい中年のオッサンなんかよりも興味を持つよな。ちょっと寂しいけど。

 でも、プレイが始まってからは、俺の方がベテランだから、周りにいた女性ふたりを抱き寄せて、さらに目が合ったもう一人を加えて、いきなり三人を相手に淫らな行為を開始する。もう、自分の身体のそれぞれの箇所が、どんな風になっているのか分からないけど、とにかく気持ちが良い。ミカの方は、ひとりの男と濃厚に絡み合っている。ほら、俺の方が人数では勝ってるやん。

「別に、人数で競ってないし。」
「まぁ、そうやけど。」
「気を付けて、いってらっしゃい。」
「うん、いってきます。」

 乱交パーティが終わった後、ミカと一緒に朝まで飲み明かして、シャワーを浴びるためにミカの部屋に寄って、ほんの少しだけベッドで横になってから、フラフラの状態のままでタクシーに乗り込んで伊丹空港に向かった。手提げバッグには、一応、本を何冊か入れて来たけど、松山までの道のりでは全く本を開く気にはなれなかった。メッチャしんどい。

「おはよう。」
「おはようございます。田附部長。」
「もう会長も着いてんの?」
「いや、まだ見てないですね。」
「石川部長は、いつ着いたん?」
「昼前です。」

 相変わらずホテルに現地集合のスタイルで、夕方にホテルのロビーで待ち合わせることになっている。自分ひとりで部屋で待っていたら絶対に寝てしまうから、仕方なくロビーで待つことにした。結局、「全員、揃ってるか?」っていう会長の声で目覚めたんだけど、とりあえず寝過ごして集合に遅れることはなかった。

「おい、石川。」
「はい。」
「道後温泉は、お前が店の担当やで。」
「は、はい。分かりました。」

 まだ寝ぼけていて頭がしっかり働いていないけど、クリちゃんの顔を思い浮かべて、ホンマにナーンにも役に立たん情報をありがとう、と心の中で叫んだ。


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