この男、猥褻につき

夜の連続ブログ小説(ほぼ完全ノンフィクション)

第九十七話「三回目」

time 2016/03/04

第九十七話「三回目」
 オープン三日目は、日曜日ということもあって、前々日、前日の比じゃないくらいのお客様が詰めかけてきた。俺を含め男性スタッフはもちろん、女の子たちも気合十分で、接客する。こういう店全体が一丸となって頑張ろうっていう雰囲気になってるのが好き。本当はライバル関係にある女の子たちも、新人が多いこともあって、みんなで助け合っていて、めっちゃ良い。

「店長、わたし、海綿のこと、他の子にも教えてあげてん。」
「そやな。知らん子の方が多いやろからな。」
「うん、大体、みんな初めて知ったって。」
「今日は、自分で付けれたん?」
「二日前から、ずっと付けっぱなしやから。」

 いや、絶対にアカンやん。海綿って、別に特別な医薬品でも何でもなくて、ただ流れ出る血を止めてるだけやから、生理から三日間も血を止めっぱなしって、絶対にアカンやん。ミヨちゃんを連れて、急いで三階まで上がって、オフィスの事務机に座らせる。

「やっぱり恥ずかしいから、自分で取るわ。」
「ええよ、やってみたら。」
「ああ、無理やわ。指が滑って取れへん。」

 

 ミヨちゃんのアソコに指を入れるのは、二日ぶり三回目。そうそう、一回目は、出会い系サイトで待ち合わせをした晩に、ホテルに入ってから、うちの店で働くように口説きおとして、ピンサロの仕事を説明するからと即席の講習をした時だ。あの時も、すでに勧誘と講習という仕事モードだったから、いやらしい気持ちには一切ならなかった。

 

 ただ、指を突っ込んで、指先に触れる海綿を二本の指で挟んで、引っ張り出すという職人技を披露するだけ。ナプキンを片手に持ったミヨちゃんが、海綿が出てくるのを待ち受けて、溢れ出る血を抑えながら、トイレに駆け込んでいく。アソコを中まで綺麗に洗ったミヨちゃんが出てきて、もう一度、新しい海綿を挿入する。二分ぶり四回目。

 

「わたし、この店のエースやから、今日も頑張るよ。」

 

 一緒に階段を降りながら、こんなことを言われて、何のことかと思ったら、俺が二日前に言ったことだった。気づくのに少し時間がかかったけど、「そやで。エースやねんから頑張ってな。」と、一応は、うまく返したつもり。女の子って、細かい会話をよく覚えているから怖い。オープン記念の忙しさで集中力が落ちているのかも、気合いを入れなおそ。

 

「今日も、すごいお客さんですよ、店長。」
「ほんまやな。めっちゃ嬉しいわ。」
「長谷川君も、松木君も、頑張ってくれてるし。」
「うん、山下さんの指導のおかげやな。すごいわ。」
「そんなことないよ。あ、いらっしゃいませ!」

 

 俺もそうかもしれんけど、店がオープンしてからの山下さんは、すごく元気だ。もちろん、女の子の面接も大事だし、許認可みたいな書類仕事も大事だけど、やっぱり俺たちは、お客様を迎え入れて、女の子を紹介するまでの仕事が、最も性に合ってるんやろな。元気な山下さんを見てたら、俺も気分が高揚してくる。大先輩、ありがとう。

 

 席数が限られているから、どれだけお客様が来ても、待ってもらう以外にない。オープン記念のイベントだし、理解のあるお客様に恵まれて、待合室でのトラブルもなく、ただ淡々と同じ作業を繰り返す。選んでもらえる女の子の数も限られているけど、申し訳なさそうな顔をするんじゃなくて、あくまで自慢の女の子を紹介するんだという表情を崩さない。小太りのケイちゃんも、定期的に選んでもらえてる。良かった。

 

 遅番の営業に切り替わってから二時間ほどが経った午後八時ごろ、また、昨日のオッサンが来て「メイちゃんは、今日、出勤してますか?」と聞く。待合室のソファに座ることもなく、入り口の扉から僅か数メートルとのところで、ゴニョゴニョと口籠るような口調で話すこのオッサン、もう明らかにお客様ではない。

 

「すみません。うちに、メイって子、いなんですけど。」
「そうか。そしたら、ジュンちゃんは?」
「いや、居ないですね。すみません。」

 

 あのオッサンが探しているのは、間違いなくサツキちゃんのことだ。ミナちゃんの本名のジュンってのも知ってたから、これはただの偶然ではないだろう。二人は、プライベートでも仲良しで、俺の頭のなかでもワンセットだから。二日続けて、わざわざ店まで訪ねて来るって、どういう要件なんやろ。

 

 やっと三日目の営業が終わって、みんながやり切ったという満足感で興奮状態になり、なかなか店から帰ろうとしないから、長谷川君に人数分のビールを用意してもらって、ちょっとした打ち上げパーティをした。俺も何か感極まって、涙がこぼれそうになったけど、いや、涙がこぼれたけど、山下さんが女の子たちに向かって大声で泣きながら感謝の想いを熱弁しているから、俺の涙はバレずに済んだ。

 

 やっぱり気になるから、盛り上がっている店内の隅っこにサツキちゃんを呼んで、二日連続で来たオッサンのことを聞いてみたけど、思い当たることは無いみたい。ちょっと頭の弱い子で、嘘をつけるようなタイプじゃないから、たぶん本当に知らないのだろう。また、何度も訪ねて来るようなら、何かしら対策をしよう。

 

「ただいま。」
「ヒロキさん、おかえりなさい!」
「サエコ、起きて待っててくれたん?嬉しいわ。」

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※この物語は、主人公の回想に基づき、だいたい8割くらい真実のフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません!とは言い切れません。

※夜の連続ブログ小説ということで、毎週月曜日から金曜日の夜8時(日本時間)に、最新話をアップいたします。毎晩読んでいただくのもよし、ある程度まとめて読んでいただくもよし、ご自由にお楽しみください。
 


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