この男、猥褻につき

夜の連続ブログ小説(ほぼ完全ノンフィクション)

第七十話「四番」

time 2016/01/28

第七十話「四番」
 朝八時半に起きて、九時半に店を開けて、夕方に全体ミーティングをして、午後八時には店を出るという生活スタイルが定着してきた。会長に怒られて以来、もう一度、自分を見つめ直して、真剣に仕事に取り組んでいる。そして、仕事が終わったら、スキャンダルに行くのも、ほぼ日課になっている。
 
「いらっしゃいませ。」
「どうも。」
「今日も、四番のマリリンちゃんでよろしいですか?」
「もちろん。」

 完全に常連の扱いになっていて、指名はマリリンちゃん、飲み物はビールと、どのボーイも知っている。ユーロビートと、マイクパフォーマンスと、だっこちゃん。ほんまにスキャンダルは最高だ。女の子の身体に手を回したら、もう異次元空間に突入したような爽快感。今日もマリリンちゃんは、かわいいなぁ。
 
「たっちゃんだけやわ。」
「なにが?」
「私のこと、ほんまに好いてくれてるのは。」
「うそやん。うまいこと言うわ。」
 
 マリリンちゃんは、まるでモデルのような身長の高いスレンダーな女の子。スキャンダルの非現実的な空間が、めっちゃ似合う。音楽に合わせて身体を揺らして、俺の全身を攻める、攻める。茶髪のロングヘアーをなびかせて、だっこちゃん、だっこちゃん。さぁ、ボックスゴーゴーだ。マリリンちゃんの長身は、ソファーに立ち上がると、さらに目立つ。注目度抜群。周りの視線を感じながら、マリリンちゃんの股間に顔をうずめる。もう最高。ほんま最高。スキャンダル大好き。
 
 老舗のセクキャバとして京都では超有名なスキャンダルで、現在のナンバーワンが、このマリリンちゃんだ。俺、やっぱり、ナンバーワンが好きやねん。俺の他にも色んな男が、マリリンちゃんに会うためだけに、ここに来ている。俺も負けてられへん。
 
「また、あとでね。」
「はいはい。またねぇ、マリリンちゃん。」
「他の女の子に、なびかんといてな。」
 
 セクキャバという業態では、たとえ指名をしたとしても、他のお客さんからの指名が入れば、女の子は別の客のところへ行ってしまう。だから、決して俺だけがマリリンちゃんを独占することができない。ナンバーワンだけあって、同時に何人もの客から指名が入ることもある。この独占できないっていうのが、また、たまらんねん。
 
「イブちゃん、こんばんは。」
「たっちゃん、たまには私も指名してよ。」
 
 八十八番のイブちゃん。この子も、かわいい。長い黒髪と、キリッとした目尻が、男心をそそる。マリリンちゃんと出会わなければ、俺はきっとイブちゃんばっかり指名していたはず。フロアを仕切っているホール課長が、俺の趣味を分かってくれていて、マリリンちゃんに指名が重なっている時には、このイブちゃんを回してくれているみたい。
 
 店内を見渡す限り、偉そうなオッサンも、半そで短パンの若いやつらも皆、女を膝の上に乗せて、デレデレとスケベ顔で女の子の尻や乳を触っている。完全に非日常。異空間。めっちゃ楽しい。さぁ、今夜も、祇園スキャンダルへようこそ。はい、だっこちゃん。だっこちゃん。今日もマイクパフォーマンスは絶好調だ。
 
 イブちゃんの次に来たのは、ゼロ番のシェリーちゃん。実は、この子、俺がスキャンダルで一番最初に指名した女の子だ。北海道の出身らしく色白で、物静かな感じなんだけど、はにかんだ時に見える八重歯が、めっちゃかわいいねん。
 
「さっき、あそこのオッサンのとこに、ついてたやろ。」
「あ、見えてましたか?」
「うん、えらいベタベタと触られてたやん。」
「えぇ、すごい見られてる。恥ずかしい。」
 
 どうやらシェリーちゃんは、俺に親近感を感じてくれているみたいで、俺のところに来た時には、すごく自然体の笑顔を見せてくれる。こういう子も、好きやわ。
 
「シェリーちゃん、どこに住んでんの?」
「この店の寮です。」
「寮って、山科の?」
「そうです。良く知ってますねぇ。」
 
 シェリーちゃんが驚いた表情をしているから、調子に乗って「遊びに行って良い?」って耳元で囁いたら、「今日はダメですけど、明日なら。」と、思いがけない返事が返ってきて、俺の方が驚いた。
 
「私のたっちゃん!ただいま!」
「マリリンちゃん、待ってたでぇ!」

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※この物語は、主人公の回想に基づき、だいたい8割くらい真実のフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません!とは言い切れません。

※夜の連続ブログ小説ということで、毎週月曜日から金曜日の夜8時(日本時間)に、最新話をアップいたします。毎晩読んでいただくのもよし、ある程度まとめて読んでいただくもよし、ご自由にお楽しみください。
 

 


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