この男、猥褻につき

夜の連続ブログ小説(ほぼ完全ノンフィクション)

第六話「大学生活」

time 2015/10/26

第六話「大学生活」
 大学に入学してから二年が経った。俺は、ニッポンの大学生の模範を示すかのような日々を送っている。ほとんど学校に近づくことはなく、来る日も来る日も、友達と遊び呆けていた。高校時代も、ラグビーに明け暮れ、夢中で勉強した記憶はないが、大学に入ってからの俺といったら、ボールの代わりに女の尻を追いかける日々を過ごしている。
 
 早稲田を志望していたはずの俺が入学したのは、明治学院大学の国際学部だった。一応、早稲田の社会科学部には合格したんだけど、オヤジたちの薦めで、この年に新設されたばかりのこの学部に入学することになった。早稲田で埋もれるよりも、新しい学部で学ぶほうが、学者になる男の経歴として相応しいというのがオヤジたちの言い分だった。
 
 春の新生活の高揚感のなか、入学後の数ヶ月間は、大学にも真面目に行っていた。学者になるために。だけど、とにかく退屈だった。別に勉強が嫌いなわけでもないんだけど、周りの同級生たちが、普通すぎてつまらない。日本全国から集まった神童たちや、とびきりの大金持ちの息子たちなど、超高校級の同級生たちと比べると、国際学部の同級生たちは、あまりに普通すぎた。平凡なことには満足できない。
 
 国際学部のキャンパスは、明治学院大学の本校である白金キャンパスから遠く離れた神奈川県横浜市戸塚区にある。“戸塚”と聞いて、数年前にスパルタ教育で世間を騒がせた『戸塚ヨットスクール』が頭に浮かんだけど、あれは“戸塚宏さん”という人が設立した学校だからだそうで、戸塚区とは一切関係がなかった。通学のために長時間を電車のなかで過ごしたくないので、アパートも大学の近くに借りている。
 
 でも、主な活動エリアは、渋谷や新宿、たまに横浜。高校時代のエリート同級生たちが、東京大学をはじめとした東京の大学に数多く進学しているので、遊び相手には困らない。現在の普通の同級生たちより、昔の特別な同級生たちと一緒にいる方が、圧倒的に楽しい。まぁ、やっていることと言えば、カラオケに行ったり、居酒屋に行ったり、普通の大学生と大して変わらないことをしているんだけど。
 
 週末の土日は、競馬場に出掛ける。アパートや電話代、水道代などの生活費は、オヤジのところに請求が行くし、それなりの仕送りもあるので、別にギャンブルで金を儲けようとも思っていないんだけど、友人の克己と一緒に競走馬を観に行くのが週末の恒例行事となっている。克己は小学校からの幼馴染で、中学・高校6年間を松山で共に過ごした仲でもある。
 
 アルバイトも始めた。これも競馬と同じく、時給とか給料とかお金には特に執着していない。かわいい女の子と出会う方法を考え抜いた結果、アルバイトをすれば同僚の女の子と仲良くなって付き合えるチャンスがあるかもしれないという結論に至ったからだ。
 
「田附くん、飲食業の経験があったんだね。履歴書には何も書いてなかったけど。」
「いや、これが初めてのアルバイトですよ。」
「声も大きいし、お客様にドーナツを勧めるのも上手だよ。」
「ほんまですか。ありがとうございます。」
どういうわけか、接客業には向いているようだ。俺がミスタードーナツでアルバイトをすると言ったら、友人たちからは「その顔でドーナッツ屋ってギャグやろ」と大笑いされたけど。何事もやってみないと分からないものだ。
 褒められれば嬉しいし、仕事も真面目に取り組むけど、本来の目的も忘れてはいけない。あくまで目的は、女の子との出会いだ。気になっている子はいる。アルバイト仲間のアキコちゃんだ。美人だし、スタイルも抜群、まさに俺の理想のなかの理想、直球ど真ん中の女の子。とはいえ、誰がどう見ても俺とは釣り合わない高嶺の花、付き合うどころか、仕事中に話しかけるのさえ緊張してしまう。
「田附くん、お先。また明日ね。」
「あ、はい。さようなら。」
せっかく同じシフトだったけど、今日も、何も会話できずに終わってしまった。

 

※この物語は、主人公の回想に基づき、だいたい8割くらい真実のフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません!とは言い切れません。

※夜の連続ブログ小説ということで、毎週月曜日から金曜日の夜8時(日本時間)に、最新話をアップいたします。毎晩読んでいただくのもよし、ある程度まとめて読んでいただくもよし、ご自由にお楽しみください。
 

 


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